やっとかめ能楽舞台

御殿能

御殿能
名古屋といえば、金シャチ輝く名古屋城。
そしてその主であった尾張徳川家の殿様にとって、公式の芸能といえば、能楽(能と狂言)です。今回は、お城での演能がもっとも華やかだった二代光友(一六二五年~一七〇〇年)ゆかりの能から「石橋」を、また、もっとも狂言を好んだ四代吉通(一六八九年~一七一三年)が生母本寿院と観た番組から「仏師」、さらにおなじみの七代宗春(一六九六年~一七六四年)が、歴代藩主の生母たちを招いた際の番組から「葵上」をお届けします。
日時 平成25年 11月16日(土)14:00〜(開場13:15)
※会場前ショート解説 13:30〜13:50
会場 名古屋能楽堂
入場料 指定席:4,000円
自由席:3,500円(一般)2,000円(学生)
解説 米山 万理

能「葵上」(あおいのうえ)

『源氏物語』を原作とする。
光源氏の妻・葵上は、重い病の床に伏している(舞台正面に置かれた小袖で表される)。その病因を探るため、朱雀院に仕える臣下が照日巫女に占わせると、一人の貴婦人が現れる。それは、光源氏が親しくしていた六条御息所の生き霊であった。
そもそも六条御息所は皇太子妃として華やかな生活を送っていたが、夫に先立たれてしまった。その後、光源氏が訪れるようになったのだが、次第に疎遠となり、その寂しさが葵上への恨みに化したのである。生き霊は葵上を打ちのめそうとするが、そのまま姿を消す。
生き霊を退治するため、横川小聖が招かれ、祈祷が行われる。鬼の姿となって再度現れた六条御息所は、なおも葵上に襲いかかろうとするが、横川小聖の法力に負け、最後は清々しい気持ちに転じて帰って行く。

狂言「仏師」(ぶっし)

田舎者が都にやってくる。
堂を建立したものの仏像がないので、仏師を探しているのだ。そこへ「すっぱ」(詐欺師)が仏師を名乗って現れ、明日までに吉祥天女の像を作る約束をする。 翌日、ニセ仏師は面をかぶって仏像になりすますが、田舎者から注文を付けられ、一人二役をしながら応対するうち混乱し、ついに正体がばれてしまう。

半能「石橋」(しゃっきょう)大獅子

修行のため唐・天竺に渡った寂昭法師が、文殊菩薩の聖地とされる清涼山に到達する。 目前には底が見えないほど深い谷があり、虹のような石の橋がかかっている。 その幅一尺(約三十センチ)、長さ三丈(約百メートル)、苔が生えて滑りやすい上に、雨が降っている。
どうやら、常人が渡れる橋ではないらしい。 そこに、文殊菩薩の使いである獅子が現れ、紅白の牡丹の花に戯れながら、菩薩の奇跡を見せるために激しく舞う。 「大獅子」の演出は、紅白二頭の獅子が登場するもので、いっそう華やかな舞台となる。
さらに、小鼓と太鼓によって谷底の深さが表現される「露の拍子」の演奏や、力強い地謡など、聴きどころも満載の楽しい能である。

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