やっとかめ能楽舞台

和泉流狂言づくし

和泉流狂言づくし 和泉流狂言づくし
日時 平成25年 11月15日(金)18:30〜(開場18:00)
会場 名古屋能楽堂
入場料 指定席:4,000円
自由席:3,500円(一般)2,000円(学生)
解説 田崎 未知

「佐渡狐」(さどぎつね)

越後と佐渡の百姓が年貢を納めに行く途中、道連れになる。越後の百姓が「佐渡に狐はいないだろう」と言うと、佐渡の百姓は「狐はたくさんいる」と言い、佐渡に狐がいるかいないかで論争になる。
二人はめいめいの小刀を賭け、奏者(=取次役人)に判定を頼むことにする。まず年貢を納めた佐渡の百姓は、これまでの事情を奏者に説明し、賄賂を贈る。奏者は賄賂の見返りに佐渡の百姓に狐の姿形を教えてやる。佐渡の百姓は狐を見たことがない。越後の百姓も年貢を納め終わり、やがて賭けの判定となるが――。
佐渡の百姓が奏者に賄賂を贈るところが、この狂言の見どころの一つである。扇を開き、愛想笑いをしながら、奏者の袖の下に「寸志」をねじこむ。

「口真似」(くちまね)

主人は、酒をもらったので、誰か酒の相手を捜して来いと、太郎冠者に命じる。
太郎冠者は知合いの男を訪ね、無理に連れてくる。実はこの男こそ、酒を飲んで取り乱す酔狂人として有名な男であった。 主人は、太郎冠者が無理に連れて来た手前、男を穏やかに帰そうと考える。そこで太郎冠者に、以後は自分の言うとおり、するとおりに振る舞うようにと命じる。太郎冠者は、主人の物まねをすれば良いとばかりに、主人の一挙一動をまねをして、男に応対する。
太郎冠者の職業は、主人や大名に仕える使用人である。狂言に登場する太郎冠者が一生懸命なほど、その姿は滑稽に映る。太郎冠者が主人の言いつけどおりに、一生懸命にまねをして振る舞うことにより、かえって主人を困らせることになる。

「二人袴」(ふたりばかま)

婿入りに一人で行くのが恥ずかしい息子は、父親に舅の家の門前まで付き添ってもらう。 父親はただちに引き返すつもりだったが、舅宅の太郎冠者に見つけられ、座敷に出なければならないことになる。 ところが、正装の袴は一つしかない。
息子と父親は、交互に袴を着けて舅の前に出るが、二人揃って来て欲しいと言われる。そこで父親が一計を案じるのだが―。
酒宴の場面では、座興として小舞が舞われる。
舅は、めでたいことは三身相応と言うから、三人で相舞(=二人以上で同じ型の舞をすること)をしようと言い、舅・息子・父親の三人で舞うことになる。 一つしかない袴を二人で着用できるようにする父親の一計と、三人での相舞が、この狂言の見どころである。

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