PAGE TOP

facebook twitter
美しく儚い和菓子は、職人の手と、使いこまれた道具から。

TEXT : 近藤マリコ

2017.11.05

こちらは名古屋市北区にある「きた川」で、へそくり餅で有名なお店。ここの厨房には、整理された道具類が所狭しとぶら下がったり積まれたりしており、この使いこまれた感と整頓された様子からは道具に対する並々ならぬ愛情を感じてしまう。おそらく、どのヘラがどこの列か、決まっているのだろうと思うが、それを質問してもさりげなくかわされてしまった。きっと「そんなことはいちいち話すことではない」と思ってらっしゃるのでしょうね。

天井の吊り戸棚と棚の間に積まれた平の板を見つけて「これは何に使うんですか?」と質問すると、はずかしそうに「それはね、わたしが手作りした道具なんですよ」と答えになっていない答えが返ってきた。ご主人が思うようなサイズのものがなかったために、仕方なく手作りしたのだとか。

 

名古屋の和菓子は、やわらかな食感がなにより特徴で、美味しいレベルが非常に高く、ハレとケの和菓子を両方取り扱っていることで地域に根ざした和菓子店が多い。職人たちは、日々道具を磨き、素材を吟味し、自らの感覚を信じて美味しい和菓子を作っている。「美味しいね」と言いながら食べてしまえば、その形は儚く消え去っていく。だからこそ、そこに込められた職人たちの技術と思いも一緒に味わって、愛でていきたいと思う。

 

やっとかめ文化祭2017関連プログラム

名古屋てくてく和菓子めぐり

1 2

近藤マリコ

WRITER PROFILE

近藤 マリコ

コピーライター、プランナー、コラムニスト。
得意分野は、日本の伝統工芸・着物・歌舞伎や日舞などの伝統芸能、工芸・建築・食など職人の世界観、現代アートや芸術全般、食事やワインなど食文化、スローライフなど生活文化やライフスタイル全般、フランスを中心としたヨーロッパの生活文化、日仏文化比較、西ヨーロッパ紀行など。飲食店プロデュース、食に関する商品やイベントのプロデュース、和洋の文化をコラボさせる企画なども手掛ける。